家に帰ってきて 自分の部屋に入ってドアを閉めて ひとり 鏡に映る新しい白いマスク そっととると 右頬に生々しい二本の傷 交差したそれは、大好きだった漫画の主人公のよう。
F o r the incurably ill 6
流石に 泣けてきた。 涙が傷にしみて ピリリと 痛い。 布団に もぐりこむ こんな嫌がらせなんて今まで何度もあった。 それどころか日常茶飯事だ。 呼び出しくらって理不尽なこと言われたり、持ち物無くなったり、傷つけられたり 変なうわさ流されたり、嫌な仕事おしつけられたり 無言電話とか中傷メールはもう気にならなくなったし、上履きに画鋲入っていたときは思わず笑った。 そう 風邪と一緒で ウイルスはいつでも周りに蔓延している。 そして体内にも入ってきている。 風邪を引くときって、自分の体が弱っているときなんだよね。 自分を抑えようとしても 思考がマイナスにむかって止まらない。 知っている。 釣り合わないことなんて知っている。 外見はたいしたことないし 頭はそこそこいいけれど 飛びぬけているほどでもない 自分が一番、自分のだめさを知っているから 不二にコンプレックス持っているのも本当だけど 自分の中で気づかないように 考えないように 無意識のうちに でも必死に 押し込めてきたものだから あいつらに傷つけられたからじゃなくて 自分の中で 痛かった。 涙が 止まらない。 知ってるよ分かってるよ五月蠅いな 好きなんだからしょうがないじゃない でもそれはわがままだ 私もあの子たちの立場だったら 同じように思うだろうから 胸が 痛い せつなくて 気持ち悪い こんな思い 何度もするくらいなら もう 終わりにしてしまおうか 疲れた もう いい 「さよなら」 メール画面に打った文字を 意味も無くつぶやいてみる。 泣きすぎで 声は出なかった。 無表情なまま タイミングをみはからって送信ボタンを押し そのまま いつのまにか 疲れ果てて眠ってしまった。 → モドル 041108