「大石君、それ・・・」
「なに?」
浴衣
「左前 になってるよ?」
「ヒダリマエ ?」
「その浴衣の えり がね。普通と逆で右が前に来てるよ・・ね?」
「あぁ・・ほんとだ。へー。そんなの決まってるんだ!」
「うん。確か左前は 死人装束になっちゃうんだよ。」
「死人!?」
「ふつーと違って、お葬式とか 亡くなった人のキモノは左前にするんだって。」
「へえー あれ?もヒダリマエじゃないか?」
「あぁ。うん。女の人は男の人と逆なの。」
「そうなんだ。不二のヤツもそこまでは知らなかったのかな・・。」
「ふふ。不二しか着付けできる人いないみたいだしねぇ。」
「ちょっと急いで直してもらってくる!」
「お祭り始まっちゃうから急いでねー!」
カラン
コロン
カラン
ああ 急がないと 全員死人装束になっちゃったら大変だ!
「あっれー大石?どうしたのー」
「忘れものっスか?」
「皆ちょっと並べ!!」
「へ?」
「な・・・なんスか?」
・ ・ ・ ・ ・ ・
「 あれ?」
右 右 右 右 ・・・左。
「おおおお俺だけ死!?」
「死!?」(ビクッ)
「なんなんスか?」
「大石先輩 ・・・?」(フ フシュウッ)
ギィ ィ ィィィ
「ふう。やっと全員の着付けが終わったよ。」
「不二 オツカレー!」
「あざーッス、不二先輩!」
「さぁて、たこ焼が待ってるにゃー!」
「あ
あああああの不二? お、オレだけ浴衣がヒダリマエなんだけど・・」
「え? ・・あ、あれ?
ホントだ!ごめん。ウカッリしてたみたい!
すぐ直すから、入って入って。」
「大石先輩、ヒダリマエって何スか?」(コソコソ)
「あぁ、なんか浴衣の襟って右が前に来るらしいんだ。
ヒダリマエは死人装束になるらしい。」
「・・・・・」
「・・・・・」
「@てめー殺るぞ、コラァ という脅し。」
「なっ 何だい英二!?いきなり・・・
「A先に死人装束を着せておけば 殺した後にわざわざ着替えさせなくてOK! という逆転の発想。」
「桃!?」
「さぁ、Which!」
「いやいやいや越前、それ俺どっちにしろ死
「大石ー!はやく入って!急いで着付けるよ!」
「あ、あぁ悪い・・・」
「ごめんね。すぐ直すから。」
「あぁ・・いや、うん。不二でも間違えることあるんだな。」
「そりゃー僕だって人間だもの。もー僕を何だと思ってるの?」
「え。 いや。 何って・・・・・」
「はい、あとは帯。大石、深呼吸して。」
「深呼吸?」
「吸って〜〜〜〜」
すーーーーーーーーーーーーーーーー
「吐いて〜〜〜〜〜」
はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
キュッ
「はうっっっ!?」
「うっわー!!見て見て。超屋台!」
「うん!うん!キラキラのメラメラだねっ!」
「ふ、二人ともはしゃぎすぎッスよー!」
「(越前、お前もわくわくを隠しきれてないぞ)」
「・・・・・・・フシュゥ(何故誰も大石先輩の突然の失踪を口にしないんだ?)」
「海堂、どうかした?」
「い、イエ・・・!」
「じゃあ超お祭り!超たこやき超金魚探索開始にゃー!!」
「おおー!!」
「どっから行く?どっから!?」
きゃあきゃあ
きらきら
「英二、あっちにギネス級の大きなりんご飴があったよ。」
「桃。あっちにGBAとかPSPの当たる射的があったよ。」
「越前。あっちに見世物小屋があったよ。
・・・知らない? 日本の伝統文化。風流で涼しげな・・・夏の風物詩だよ 。」
「見て、海堂。あの子猫、捨てられたみたいだね。
かわいそうに・・・・」
「!」
「あ!不二ー。良かったぁ。いつの間にか はぐれちゃったみたいで。」
「僕もだよ。皆はしゃいじゃって・・」
「まったくネェ。」
「・・・・そんな金魚と水風船ぶらさげて
クレープと大阪焼の間で目を輝かせてる人に言われても
「あっ! 不二!後ろ! 花火っっ!!」
パー ン
「きっれー ・・・だねぇ。」
「うん。 でもの方が綺麗だよ。」
「 ・・・・・・・ よくもそんな歯痒いことを。」
「本当だよ。」
「いつからイタリア男になったの?」
本当だよ。
君が笑うから花火も祭りも 綺麗で楽しいんだ。
それなのに花火ごときが君より美しいなんてことは 無い。
絶対 無い。
よくある言葉だけど
イタリア男のおせじなんかじゃない って今判った。
「でもお祭りとか花火とか見てると
日本人で良かったー って思わない?」
「うん。そうだね。
やっぱどうしても 日本人にしか判らないものってあるよね。」
「ねー。
あと白米のおいしさを噛み締めたときとか お団子とお抹茶が最高のハーモニーをかもし出したときとか 冷奴にネギと鰹節としょうがのっけてだし汁かけて・・
「・・・・・・・」
思うよ。
君のいる 日本に生まれてよかった。
イタリアなんかじゃなくて。
ここに。
モドル 051030 ちなみに最後まで祭り会場にいたのは海堂でした。 ニャーン