「おいオメーら、今日俺がいないからって部活さぼるんじゃねーぞ。」 金持ちは欧米人並みに誕生日を大切にする。 「えー?あとべ今日部活来ないのー?」 「ジロー、お前も寝てんじゃねーぞ。」 「どーせまたパーティとかなんやろ。」 「は!?そうなのか跡部!ずりーぞ」 「五月蝿ぇよ。さぼりやがったら明日外周やらすぞ。」 職権乱用だ――― と騒ぐ部員たちを後にして、跡部は暗い顔をして出て行った。 「・・・・?」 「景吾君、おめでとう。」 「おめでとう景吾さん。」 「おいくつになられたの?」 「ありがとうございます。15になりました。」 かすかに、微笑んで。 「大人っぽいわねぇ」 「とても中学生には見えないわ〜」 「学年トップで、テニスもお上手なんですって?」 「本当にご両親がうらやましいわ。」 跡部は誰にも見えないところでため息をついた。 誰も自分の誕生日を祝いに来ているのではない。 分かってる。 人脈をつくり、権力と金を誇示するだけの、つまらない大人のパーティ。 せいぜい自分の子供と俺を比べて、羨ましがっていればいい。 「景吾様、お誕生日おめでとう御座います。」 ・・・またか。 跡部は0,2秒で微笑みをつくった。 もはや、反射的に。 「ありがとうございま・・・・っ・・っ・・」 0,2秒後にその笑みは崩れた。 反射的に。 「・・・っっおしたり!?」 そこには。 似合いすぎるほどのスーツ姿の忍足が ニヤリと怪しい笑みを浮かべて立っていた。 「おま・・・なんでここにっ・・」 「景吾様、突然失礼かと存じましたが、 どーーーおしても景吾様のお誕生日を祝いたいと申して聴かないものですから、仲間も連れてまいりました。」 「・・・仲間?」 景吾は驚きを隠せないまま忍足の後ろを見た。 「景吾様!お誕生日おめでとうございます!!」 「・・・・・おめでとう・・ございます。」 「ウス。」 そこには見慣れた部員達の、見慣れぬスーツ姿。 「鳳・・・日吉・・・・・・・かばじ・・」 いかにも爽やかな鳳。着慣れていない感じだが、よく似合っている日吉。 そして意外にもハマっている樺地。 「けーごさまー。おめでとー!!」 「・・・・・・・・・ジロー。」 自分流に着崩しているジローが抱きついてくる。 そして。 「・・・・・・・・・・・・・・・・っけ、けイゴ、さ・・・・さま?」 「ぉ、オメデトー・・ゴザイマス」 ・・・・・・ ブ―――――――――――――ッッッ 「!!!!????」 耐え切れず吹き出す跡部。 どよめく会場。 「・・・・ヒィ、・・・ ・・・・ックク・・・・・・ むっ・・・・向日、宍戸・・・似合わなすぎっ・・・・・・・」 笑い死にそうな跡部が、やっと口を開いた。 「!!!」 「んなっ、跡部テメー、誰のためにわざわざっ・・」 二人とも着慣れていない上に、ぎこちなさを思いっきり顔に出している。 確かにその庶民っぷりは、場にそぐわなすぎて笑いを誘う。 「せやんなぁ。俺らも笑いが収まるまで30分はかかったもんなぁー、ジロ?」 「うん。きずつけないよーにってトイレでばくしょーしたよねー」 「「!!」」 忍足とジローの気遣いに余計傷ついた二人。 「っってめーらぁ・・・」 忍足と岳人はテーブルの上にあったシャンパンをつかみ、ものすごい勢いでシェイクしだした。 「ちょっ・・・待て宍戸・・岳人・・はやまんなっ 「「けーごさまーーおたんじょーびおめでとーございまーす!!」」 プシュゥッ 一気に噴き出す高級シャンパン。 思いっきりかぶる主役跡部。 もちろんとばっちりを受ける忍足たち。 「テメーら、やってくれんじゃねーか」 「っひゃー!超つめたいC−!!!!」 「なにしよんねん!びしょぬれや!!」 「なにすんですか宍戸さーん!」 「・・・・っ・・」 そう言いながらジローと忍足もシャンパンを手にした。 「っら!仕返しや!」 「っっぎゃ――――――!!なにすんだジロー!」 「テメ忍足っ・・・ゲホ 鼻に入った・・・・っ・・・」 「「「「ぎゃはははははは!!!!」」」」 大人たちの真ん中で、高級シャンパンをおもちゃにしてはしゃぐ子供たち。 「・・・はは、楽しそうだな。」 「景吾さんのあんな楽しそうな顔初めて見たわ。」 「やっぱりまだ中学生なのねぇ。」 あふれる笑顔。 楽しくて仕方ない、誕生日の夜。 「跡部」 「アーン?」 「「「「「「「「お誕生日おめでとう!!」」」」」」」」 「・・・・・おぅ」 おたんじょうびおめでとう女帝。 たくさんの人に祝われて、幸せものだな。 「・・・・ところでオメーら」 「ん?なんや?」 「・・・・・・・・・・部活は?」 ドキィ!!! モドル
「クソクソ跡部!わざわざ祝ってやったのになんで外周なんだよー」 「サボったろーが。」 「てかもともとお前もサボリだろ!?」 「ばーか。庶民と違って誕生日を大切にする習慣があんだよ。」 「せやからぁ、俺らかて大切な部長さんの誕生日を祝ったんやんなぁ?」 「そーだそーだ!」 「泣けるやろ〜?この部員たちの忠誠心。」 「・・・・・あぁ。泣けるな。」 「せやろ!?」 「外周をすることになってでも部活をサボって祝ってくれたオメー等の忠誠心。 泣けるなァ」 「・・・・・・・」 「さっさと行ってこい。」 「・・・・・・・・・・(ムキー!)」 モドル
041004